
LCM(ライフサイクルマネジメント)とは?IT資産管理を効率化する基礎知識と実践ポイント
テレワークの普及やクラウドサービスの利用拡大により、企業が管理するIT機器やシステムは年々増えています。一方で、計画・調達・運用保守・更新・廃棄といった管理業務が複雑化し、情報システム部門(以下、情シス)の負担が課題となる企業も少なくありません。
本記事では、LCM(ライフサイクルマネジメント)の基本的な考え方をはじめ、注目される背景や4つのフェーズ、導入メリット、運用時の課題と対策、外部サービスの活用までを解説します。
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LCM(ライフサイクルマネジメント)とは?
LCMとは、「Life Cycle Management」の頭文字を取った略語で、IT機器やシステムの計画・調達から運用、廃棄までのライフサイクル全体を一貫して管理する考え方です。
管理の対象には、パソコンやスマートフォン、タブレットなどのデバイスのほか、サーバーやネットワーク機器、ソフトウェアなどが含まれます。
ITライフサイクルには、調達・導入・運用保守・更新・廃棄などのプロセスがあります。LCMによってこれらを適切に管理することで、コストの最適化やセキュリティリスクの低減、IT運用の効率化につながります。
LCMが注目される背景
LCMが注目されている背景には、企業が管理するIT資産の増加や働き方の変化があります。パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレット、クラウドサービスなど管理対象が多様化し、IT資産の状況を把握することが難しくなっています。
また、テレワークの普及によって社外で利用する端末が増え、機器の所在や利用状況、セキュリティ対策を適切に管理する必要性も高まりました。情報漏えいの防止やコンプライアンス対応の観点からも、IT資産を適切に管理することが求められています。
こうした環境の変化から、IT資産を個別に管理するだけでなく、調達から運用保守、更新、廃棄までを一貫して管理するLCMの重要性が高まっています。
LCMの4つのフェーズ
本記事では、IT機器やシステムのライフサイクルを「計画・調達」「導入」「運用保守」「更新・廃棄」の4つのフェーズに分けて解説します。それぞれの役割を理解することで、ライフサイクル全体を見据えた計画的な運用が可能です。
フェーズ1|計画・調達
業務に必要なIT機器やシステムを検討・選定し、調達するフェーズです。利用目的や必要な台数、スペックなどを整理したうえで、製品の選定や見積もり、購入・リースなどの手続きを行います。
導入後の運用や更新時期まで考慮して調達することで、過剰なスペックや台数によるコストの増加を防ぎ、IT資産を効率的に管理しやすくなります。
フェーズ2|導入
調達したIT機器やシステムを、実際に業務で利用できる状態に整えるフェーズです。初期設定やソフトウェアのインストールといったキッティングのほか、アカウント設定やセキュリティ設定、利用者への配布などを行います。
設定内容や作業手順を統一することで、導入作業を効率化するとともに、運用開始後の管理負担も軽減できます。
フェーズ3|運用保守
導入したIT機器やシステムを日常的に管理・維持するフェーズです。OSやソフトウェアのアップデート、セキュリティパッチの適用、故障時の修理・交換対応、ヘルプデスクによる問い合わせ対応などを行います。
運用保守は4つのフェーズでも期間が長く、情シスの負担が集中しやすいフェーズです。そのため、運用手順の統一や自動化を進めることが、LCM全体の効率化につながります。
フェーズ4|更新・廃棄
役目を終えたIT機器やシステムを適切に廃棄するフェーズです。廃棄時には、情報漏えいを防ぐため、保存されているデータを確実に消去したうえで、法令や社内ルールに沿って処分する必要があります。
また、リース機器の返却やIT資産台帳の更新なども重要な作業です。廃棄まで適切に管理することで、セキュリティリスクを抑えるだけでなく、IT資産情報の正確性も維持できます。
LCMを実践するうえでの課題
LCMの重要性を理解していても、実際の運用に落とし込むにはさまざまな課題があります。ここでは、多くの企業が直面しやすい課題と、その対策を紹介します。
管理の属人化
特定の担当者だけがIT資産の情報や運用手順を把握している状態では、異動や退職が発生した際に管理業務が滞るリスクがあります。また、担当者ごとに管理方法が異なると、情報の更新漏れや対応品質のばらつきも生じやすくなります。
対策として、資産台帳や運用マニュアルを整備し、管理ルールを統一することが重要です。IT資産管理ツールなどを活用して情報を一元管理することで、担当者が変わっても継続して運用できる体制を整えやすくなります。
EOL対応の見落とし
IT機器やシステムのEOL(※)やサポート終了時期を適切に把握できていないと、更新計画が後手に回り、サポート終了後も古い機器やシステムを使い続けることになりかねません。その結果、セキュリティアップデートや修正プログラムが提供されなくなったり、障害発生時に修理や部品の調達が難しくなったりする可能性があります。
対策として、IT資産ごとのEOLやサポート終了日を一覧で管理し、定期的に確認する仕組みを整えることが重要です。あらかじめ更新時期や優先順位を整理しておくことで、突発的なリプレースや業務への影響を抑えやすくなります。
※EOL(End of Life)とは、製品ライフサイクルの終了を指します。メーカーによって定義は異なり、サポート終了とは別の時期に設定される場合があります。
関連記事:EOL対応とは?放置するリスクや進め方、管理のポイントを解説
突発的なコスト発生
機器の故障や急な増員に伴う端末の追加調達などによって、予定外の支出が発生することがあります。また、更新時期を適切に管理できていないと、複数の機器を同時に入れ替える必要が生じ、一時的な費用負担が大きくなる可能性もあります。
ライフサイクル全体を見据えて更新時期を管理し、中長期的な予算計画に反映することで、特定の時期に費用が集中するリスクを抑えやすくなります。
ベンダー調整の煩雑さ
複数のメーカーやサービス事業者を利用している場合、調達や契約更新、保守、問い合わせなどについて、それぞれのベンダーと個別にやり取りする必要があります。管理対象や取引先が増えるほど調整業務も複雑になり、情シスの負担が大きくなりがちです。
こうしたLCMに関わる業務を自社だけで継続的に担うことが難しい場合は、外部の専門事業者へ委託する方法もあります。
LCMサービスという選択肢
LCMサービスとは、IT機器やシステムのライフサイクル管理に関わる業務を、専門事業者に委託できるサービスです。機器の調達・導入から運用保守、回収・廃棄まで、幅広い業務を一括して任せられるサービスもあります。
自社運用とLCMサービスには、それぞれ次のような特徴があります。
項目 | 自社運用 | 外部委託(LCMサービス) |
コスト | 人件費・管理工数を含めて自社で負担 | 委託範囲に応じたサービス利用料が発生 |
専門性 | 社内の知識やスキルに依存する | 専門事業者のノウハウを活用できる |
対応範囲 | 社内リソースに左右される | 調達から廃棄まで対応するサービスもある |
柔軟性 | 自社の運用に合わせやすい | 提供されるサービス内容や契約範囲によって異なる |
LCMサービスを選ぶ際は、自社がどの業務を委託したいのかを整理したうえで、サービスの対応範囲を確認することが重要です。機器の選定やキッティング、運用保守、回収・廃棄など、事業者によって対応できる業務は異なります。
また、保有するIT資産の種類や台数、サポート体制、障害発生時の対応なども確認しておきたいポイントです。自社の運用体制や課題に合わせて、必要な業務をカバーできるサービスを選定する必要があります。
LCMサービスを導入するメリット
LCMサービスを導入すると、IT機器やシステムの調達・導入から運用保守、廃棄までの業務を専門事業者に委託できます。自社の業務負担を軽減できるほか、専門的なノウハウを活用しながら、IT資産を効率的に管理できる点がメリットです。
情シスの業務負担を軽減できる
IT機器の調達やキッティング、問い合わせ対応、故障時の対応、回収・廃棄など、IT資産のライフサイクル管理にはさまざまな業務が発生します。
LCMサービスを活用してこれらの業務を外部へ委託することで、情シスの業務負担を軽減できます。特に少人数体制の企業では、日常的な運用業務に割く時間を減らし、IT計画や業務改善、DX推進などに注力しやすくなります。
IT運用にかかるコストを最適化できる
LCMサービスを利用すると、IT機器の調達やキッティング、運用保守、廃棄などをまとめて委託できるため、ライフサイクル全体を通じたコスト管理がしやすくなります。
また、機器の更新時期や契約状況を適切に管理することで、不要な契約の継続や突発的な更新を防ぎやすくなります。サービス利用料は発生しますが、情シスの管理工数や運用にかかる費用も含めて考えることで、IT運用全体のコスト最適化につながります。
ライフサイクル全体を効率的に管理できる
IT資産の管理では、調達や導入だけでなく、運用保守、更新、回収・廃棄まで継続して対応する必要があります。それぞれを個別に管理すると、情報が分散したり、対応漏れが生じたりする可能性があります。
LCMサービスのなかには、こうしたライフサイクル全体の業務を一括して支援するものもあります。複数の業務をまとめて管理することで、運用方法をそろえやすくなり、管理工数の削減にもつながります。
ICTインフラ全体の運用を支援する『Managed ONE』
IT機器だけでなく、ネットワークやサーバーを含めたICTインフラ全体のライフサイクル管理に課題がある場合は、統合型のIT運用サービスを活用する方法もあります。
当社が提供する『Managed ONE』は、ICTインフラのライフサイクル全体を支援する統合型IT運用サービスです。Plan(計画)・Build(構築)・Operate(運用)・Optimize(最適化)の各フェーズを通じて、IT運用の効率化や情シスの負担軽減を支援します。
まとめ
この記事では、LCM(ライフサイクルマネジメント)について以下の内容を解説しました。
LCM(ライフサイクルマネジメント)とは?
LCMが注目される背景
LCMの4つのフェーズ
LCMを実践するうえでの課題
LCMサービスという選択肢
LCMサービスを導入するメリット
ICTインフラ全体の運用を支援する『Managed ONE』
IT機器やシステムの管理では、導入時の設定や日々の運用だけでなく、将来の更新や廃棄まで見据えることが重要です。管理対象が増えるほど個別の対応では限界が生じやすいため、ライフサイクル全体を一つの流れとして捉えるLCMの考え方が重要になります。
一方で、LCMを継続的に実践するには、IT資産の情報管理や更新計画、ベンダーとの調整など、幅広い業務への対応が必要です。自社の人員やノウハウだけでは管理が難しい場合は、LCMサービスを活用し、必要な業務を外部へ委託することも選択肢となります。
自社のIT資産や運用体制を整理し、「どの業務を自社で担い、どの領域を専門の外部サービスに任せるのか」を適切に見極めることが、効率的かつ安全なIT運用を実現する第一歩となるでしょう。

